FXを始めるにあたって、絶対に理解しておかなければならないのがレバレッジです。レバレッジを理解しておかなければFXの旨味もリスクも全く理解できていないのと同じです。
また、FXで大きな利益を狙うことも、大きなリスクも負う理由も分からないと考えてもよいでしょう。
FXではレバレッジについて理解を深めることは絶対条件ですが、だからこそ「今さら人に聞けない」という人も多いのではないでしょうか。
FXにおけるレバレッジの概要と、注意点、法的な規制について解説します。
レバレッジについて理解して、FXのメリットとリスクを管理できるようになりましょう。
レバレッジとは
レバレッジとは、日本語では「てこ」のことです。なぜ「てこ」がFXに関係あるのでしょうか?
FXにおけるレバレッジの意味と効果について、まずは解説を行っていきます。
「てこ」とは、ご存知の通り「少ない力で大きな物を動かすこと」です。
レバレッジとは「てこ」という意味ですが、投資においては「少ない資金で大きな金額を動かす」と理解しておけば問題ないでしょう。
FXにおけるレバレッジとは?
ではFXにおけるレバレッジとはどのような意味になるのでしょうか?
FXにおけるレバレッジとは、「少ない証拠金で大きな金額を動かすこと」を意味します。
例えば、10万円の資金を用意した場合、レバレッジをかけなければ10万円分の取引しかできません。
一方、レバレッジを10倍とした場合には、10万円×10倍である100万円分の取引をすることができます。
まさに「てこの原理」のように、少ない資金で多くの金額の取引をすることができるようになります。
FXにおけるレバレッジとは、投資する金額の何倍もの金額を投資することができるという意味です。
レバレッジを大きくすればリターンも大きくなる
レバレッジを大きくすればリターンも大きくなります。例えば1ドル100円の時に100通貨購入すれば日本円では1万円です。
これが110円に値上がりした場合は11,000円となり、1,000円の利益が出ます。
逆に言えば投資金額がたったの1万円では、ドルが10円も上がったとしても1,000円の利益にしかならないことになります。
ここで、レバレッジを20倍かけると、購入時には1万円の元手で2,000通貨購入することができ、20万円分も投資をすることができるようになります。
そして、ドルが10円上昇した場合の利益は2万円になり、レバレッジをかけない場合と比較して利益も20倍になります。
このように、通貨レートは同じ値動きだったとしてもレバレッジをかけた方が多くのリターンを得ることができます。これがレバレッジの大きなメリット
です。
ただし、損失もレバレッジの分だけ大きくなってしまうという点にも注意しましょう。
レバレッジをかける際の注意点
レバレッジを効かせることができれば少ない資金で高額の取引をすることができます。しかし、レバレッジ
をかけて取引をする時には以下の4点に注意しておかないと高額な損失を負ってしまう可能性がありますし、実際にレバレッジを効かせたことによって多くの損失を出した人は、以下の4点について認識が甘かったために損失を出した可能性が高いといえます。
- ポジションの持ちすぎは注意
- 証拠金は多めに入れる
- 強制ロスカットのリスク
- 追証のリスク
レバレッジをかけて取引する際の4つの注意点について詳しく解説していきます。
ポジションの持ちすぎは注意
レバレッジをかける際にはポジションの持ちすぎには十分に注意しましょう。
例えば100万円の資金を用意して、その100万円全額でポジションをとってしまうと、当然ながら損失が出た場合のリスクは大きくなってしまいます。
場合によっては証拠金として用意した資金が強制ロスカットで失われてしまう可能性がありますし、追証のリスクも高額になります。
証拠金や追証に関しては後ほど詳しく解説しますが、レバレッジをかけるということはそれだけハイリスクハイリターンですので、ポジションを持ちすぎることなく余裕を持って投資を行うようにしてください。
証拠金は多めに入れる
証拠金は多めに入れて、証拠金一杯まで取引をせずに余裕をもったポジションをとることが大切です。
レバレッジをかける取引では、強制ロスカットと追証のリスクがあるので、証拠金に余裕を持たせておかないとすぐに損失が確定するか、追証が必要になってしまいます。
強制ロスカットと追証のリスクについてはこの後説明しますが、リスクを軽減するために、証拠金維持率を250%〜300%にしておくことが大切です。
証拠金維持率とは、ポジションを取るのに必要な証拠金でFX会社に入金してある証拠金を除したものです。
例えば、ある外貨を1万通貨買うのに必要な証拠金が8万円で、FX会社へ入金してある証拠金が20万円であれば、20万円÷8万円×100 = 250%となります。
簡単に言えばポジションをとるために必要な証拠金の2.5倍のお金がFX会社の口座へ入金されているということであり、必要証拠金の2.5倍から3倍の証拠金がFX会社へ入金されているのであれば、強制ロスカットや追証のリスクをかなり軽減することができます。
強制ロスカットのリスク
強制ロスカットとは、トレーダーが証拠金以上の損失を負わなくてよいようにFX会社が設けている安全装置のようなものです。
証拠金維持率が一定以下になると、強制的に決済が行われて損失が確定するようになっています。
証拠金維持率が100%以下とか、80%以下になると自動的に決済が行われて損失が確定します。
なお、強制ロスカットが発動する証拠金維持率はFX会社によって異なります。
例えば、口座残高が50万円で、必要証拠金が40万円の取引をした場合、証拠金維持率は125%です。
しかし、外貨が下落し、評価損が膨らむと純資産価格が下落していきます。
例えば5万円のこうした損を出した場合には純資産は45万円になり、必要証拠金が40万円だとすると証拠金維持率は112.5%です。
さらに5万円のこうした損を出した場合、必要証拠金が40万円のままであれば証拠金維持率は100%となり強制ロスカットが行われます。
ここで、10万円の損失が確定してしまうことになります。
為替というものは短期的に変動があるものです。
そのため、証拠金に余裕がないと、少しの価格変動によって強制ロスカットが発生してしまうことになります。
つまり、短期的な値動きによって強制ロスカットが発動してしまうので再度の値上がりを待つことができなくなってしまいます。
追証のリスク
強制ロスカットを避けるための方法が、証拠金維持率を上げるために追加証拠金を入金することです。
追加証拠金のことを追証と言いますが、別途損があまりにも大きな場合には膨大な追証が必要になってしまいます。
そして追証は可及的即時に入金しなければ強制ロスカットになってしまうので、高額の資金を迅速に入金しなければなりません。
このような緊急事態を避けるためには、やなり証拠金に余裕を持たせておく必要があります。
前述したように証拠金維持率を250%〜300%程度にしておけば、強制ロスカットも追証の支払いも避けることができます。
レバレッジをかけてFXを行う場合にはとにかく証拠金に余裕を持たせてトレードをすることがリスク軽減のために絶対に必要な条件になります。
レバレッジに対する法的ルール
レバレッジに対する法的なルールは日本国内の業者か海外の業者かによって異なります。
具体的には日本国内の業者よりも海外業者の方が高いレバレッジをかけることができます。
レバレッジに対する法的なルールについて解説します。
日本国内の業者は25倍まで
日本国内のFX会社には「証拠金規制」というルールが適用されています。
証拠金規制とは「個人トレーダーの場合、総取引金額の4%以上の信託(証拠金を預ける)を義務づける」というものです。
総取引金額の4%以上は証拠金をFX会社へ預けなければレバレッジ取引をすることはできません。
例えば100万円の取引をする場合は、その4%である4万円以上の証拠金が必要になるということです
。100万円÷4万円= 25となるため、国内のFX会社ではレバレッジは25倍までしかかけることができず、総取引金額の4%以上の証拠金を預ける必要があります。
国内のFX会社は25倍までのレバレッジが限度であると理解しておきましょう。なお
、日本国内のFX会社への証拠金規制をさらに引き上げようという動きが2019年にありましたが規制強化は
見送られました。しかし、今後はさらにレバレッジの上限が引き下げられる可能性があるので注意しましょう。
海外業者は規制がない
上記の証拠金規制はあくまでも日本国内の業者に限定されたものです。
そのため、海外のFX会社には証拠金規制は適用されず、25倍どころか1,000倍という業者も存在します。高いレバレッジの取引をしたいのであれば海外のFX会社で取引をするようにしましょう。
国内の規制を守っているFX会社も存在する
海外のFX会社でも、日本人に対する取引については日本の証拠金規制を遵守し、25倍までしかレバレッジをかけることができない
業者も存在します。海外のFX会社だからといって、通常25倍を超えるレバレッジをかけることができるわけではないという点に注意しましょう。
おすすめFX会社のレバレッジ
海外のFX会社はどの程度のレバレッジを設定しているのか、おすすめの国内FX会社のレバレッジとともに一覧にしてみました。
FX会社 | 最高レバレッジ |
DMM FX | 25倍 |
GMOクリック証券 | 25倍 |
松井証券 | 25倍 |
XM | 888倍 |
forex.com | 25倍 |
AVA TRADE | 25倍 |
SAXO BANK | 25倍 |
IG証券 | 1,000倍 |
このように、実は海外のFX会社でも日本国内の規制を遵守している会社が多数存在します。
「高いレバレッジで取引したい」という人は、海外の業者選びもしっかりとレバレッジを調べた上で行う必要があります。
海外のFX会社は安全性に注意
海外のFX会社と取引する場合には、その会社の安全性に十分注意するようにして下さい。
国内FX会社であれば法律によって証拠金はFX会社独自の資産とは別に管理するように義務付けられているため、万が一FX会社が倒産してしまった場合でも預けた証拠金は守られます。
一方、海外のFX会社は法律によって安全性が担保されているわけではありません。
そのため、万が一FX会社が倒産してしまったら証拠金もそのまま返ってこないことになります。
海外のFX会社は法律の規制がないからこそ、高いレバレッジをかけることができますが、そのその時投資家を保護するルールもありません。
ご自分の大切な資産を守るためにも財務的に安全な業者を選択する必要があります。
スプレッドにも注意
海外のFX会社と取引する場合にはレバレッジだけでなくスプレッドにも注意が必要です。
海外のFX会社は総じてスプレッドが国内FX会社よりもかなり広く設定されています。
スプレッドが広いFX会社と高いレバレッジで取引を
すればそれだけ投資コストが大きくなってしまいます。特に短期間の間に売って買ってを繰り返すスタイルで投資したい人にとっては、スプレッドは非常に重要ですので、レバレッジだけでかくスプレッドにも注目してFX会社を選ぶようにしましょう。
まとめ
レバレッジとは「てこ」の意味で、FXにおいては少ない証拠金で多くの金額の取引を行うことです。
日本においては25倍までのレバレッジが認められているため、例えば1万円の証拠金で25万円までの取引をすることができます。
レバレッジをかけて取引をする場合には、強制ロスカットと追証のリスクがあります。
このリスクを避けるためには証拠金に余裕を持たせることができます重要であり、証拠金維持率は250%〜300%をキープするようにしましょう。
海外のFX会社であれば25倍を超えるレバレッジをかけることができますが、海外FX会社を選ぶ際には、業者の安全性とスプレッドにも注目して、安全に少ないコストで取引できるFX会社を選択しましょう。