ウォン円レートの2020年下半期の予想はどのようになっているのでしょうか?
2020年は世界中で新型コロナウイルスの経済的な大きな影響がありました。
韓国はウイルスの押さえ込みに成功した国の1つであることは間違いありませんが、今ウォン売りが加速し、2020年後半はウォンの下落傾向が続くことが多くのメディアや専門家で予測されています。
韓国経済に内在するリスクや、2020年後半の韓国経済の予測、またウォン円レートの予測についてもご紹介していきます。
2020年中盤はウォン売りが加速
2020年5月から6月にかけてウォン売りが非常に進んでいます。
新型コロナウイルスの死者数を最小限に抑え、感染食い止めに成功した韓国のウォンが売られる原因はどのような点にあるのでしょうか?
主な原因としては以下のようなものがあります。
- 新型コロナウイルスの影響からウォン売りが加速
- 日韓関係の悪化
- 中国の台頭
- 米中対立で韓国に打撃
2020年、新型コロナウイルス感染拡大時期からウォンが売られている4つの原因について詳しく解説していきます。
新型コロナウイルスの影響からウォン売りが加速
新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年5月から6月にかけてウォン売りが加速しています。
韓国は新型コロナウイルスによる死者数がたった300人以下と、世界の中でも最もウイルスの押さえ込みに成功した国の1つです。
世界中で新型コロナウイルスの感染が広がっている中で、韓国のウォンが特に売られているのは、新型コロナウイルスの影響以外に以下の3つの影響があるからです。
元々内在していた売り要因が、新型コロナウイルスを契機にして表面化したと言った方がよいでしょう。
日韓関係の悪化
李明博政権、朴槿恵政権、文在寅政権と、韓国は慰安婦や徴用工問題を持ち出し、日本に対して謝罪と賠償を迫り続けています。
このような状況から日韓関係は悪化。
これまで日本の技術をテコに成長を続けてきた韓国は、日本から新産業の情報を得ることができなくなっています。
さらに、2019年7月に「フッ化ポリイミド」「レジスト」「フッ化水素」の化学製品3品目の輸出を禁止したことによって韓国経済を支える半導体産業は打撃を被っています。
日本との関係悪化が世界からはリスクだと判断されて、ウォン売りが加速している原因となっています。
中国の台頭
中国が韓国の牙城を脅かしているという点もウォン売りが加速している大きな原因の1つでしょう。
2018年は18%だった半導体自給率を2025年までに70%に引き上げる計画を立てており、韓国の主要産業である半導体製造業にとって中国の成長は大きな打撃となっています。
この他にも、中国が伸長している5G、IoT、自動運転、EV、AIなど、あらゆる分野で韓国は遅れているため、この点も韓国経済の成長性のなさと判断されウォン売りが加速しているとこうしたでしょう。
米中対立で韓国に打撃
新型コロナウイルスの感染拡大と香港問題によって米中の対立は再び拡大しています。
韓国はGDPの70%以上を輸出がしめ、さらに中国への輸出が26%と、輸出と外需依存が強い国です。
主要な輸出先である中国とアメリカが対立して貿易摩擦を起こしているのですから、韓国基幹産業への打撃は大きいと見られ、ウォン売りが加速しているのです。
韓国の経済的リスク
そもそも韓国には潜在的な経済リスクが3つ存在すると言われています。
- 深刻な格差
- 財閥の存在
- 外貨準備高の減少
これらのリスクがある上に、2020年はコロナや日韓関係の悪化、中国の対応などによってウォン売りが加速しているといえます。
韓国経済に内在する3つのリスクについて詳しく解説していきます。
深刻な格差
韓国は格差が非常に深刻な国の1つです。
韓国では5人に1人は自営業と言われており、一生懸命働いても月10万円も稼ぐことができないワーキングプアが社会問題化しています。
さらに、2019年3月末時点での家計債務は3.2%増となっており、これは可処分得の増加の2.7倍となっています。
この数字は新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年にはさらに深刻化していると考えられ、韓国の一般庶民の生活レベルは非常に厳しい状況にあるものと考えられています。
一方、財閥に代表されるような超金持ちも韓国には存在し、IMF通貨危機によって消滅した中流家庭が貧困層に代わり、韓国には深刻な格差が生まれています。
財閥の存在
一般の韓国国民の家計責が激増している一方、財閥は資産をどんどん増やしています。
ニッセイ基礎研究所の 『韓国の貧富の格差がさらに拡大―持てる者の土地資産は急増、持たざる者の所得は大きく減少―』によると、韓国の5大財閥グループが保有している土地の価格は2007年の23.9兆ウォンから、2017年には67.5兆ウォンと実に3倍近く伸ばしているとされています。
財閥はますます財を大きくしているという現実があるのです。
財閥は中小企業の製品を安く買い叩いて成長していると言われていますが、これでは中小企業やベンチャーが育ちません。
今の時代、一部の財閥だけが儲かっている構造そのものが、韓国経済がイノベーションを起こす土壌にはないと言えます。
財閥の存在が韓国経済の成長を阻害していると、国際的には評価されているのです。
外貨準備高の減少
新型コロナウイルスの影響による経済的なリスクによって新興国からは多くの外貨が流出しました。
外貨準備高の流出が大きかった国として
- ブラジル:193億ドル
- トルコ:156億ドル
- インドネシア:95億ドル
- 韓国:90億ドル
- 香港:78億ドル
と、韓国は世界の中で4番目に外貨が多く流出した国になります。
外貨は自国通貨の下落が進んだ時に流出します。
つまり、新型コロナウイルス感染拡大が進んだ2020年2月〜3月くらいにウォン売りが進んだため、外貨準備高が減少したものと考えられます。
一方、一時期円高が進んだ日本は世界の中で最も外貨準備高の増加が大きな国となりました。実に1810億ドルもの外貨が2020年2月から3月にかけて増加しています。
実際に2020年2月から3月で韓国の外貨準備高がこれだけ減少したということそのものが韓国経済に対する国際的な懐疑心が現れていると何らかののかもしれません。
2020年ウォン円レートの予測は?
それでは、2020年ウォン円レートの予測はどのようになっているのでしょうか?
結論的に買い意欲が醸成される雰囲気ではなく、2020年後半もウォン安は継続すると予測している専門家が大多数です。
2020年ウォン円レートの予測に影響する重要な3つのポイントについて詳しく解説していきます。
米中摩擦の悪化によって上がりずらい
米中の対立は今後さらに深刻化して行くものと考えられます。
大統領選も前にしたトランプ大統領は、新型コロナウイルス責任論でさらに強く中国を攻撃して行くことが予想されます。
また、香港の問題も「国家安全法」施行によってアメリカはさらに介入を強めていくものと思われます。
このような原因から米中の対立はさらに深刻化していくものと予想されます。
韓国の潜在的な経済リスクである米中対立は収まる気配はなく、さらに深度を増していくでしょう。
韓国経済にとってこれは間違いなくマイナスです。
外需依存が強いため経済は上向きにくい
また、韓国経済は外需依存がGDPの70%以上という、輸出に大きく頼っている国です。
新型コロナウイルスの感染拡大の押さえ込みには確かに成功しましたが、そもそも韓国経済は家計債務の増大や格差の深刻化などによって、内需や個人消費が伸びていく土壌にはありません。
新型コロナウイルスによる世界的な不況、さらには韓国経済にとっては影響が大きい米中貿易摩擦、そして日本との関係悪化など、外需依存が強い韓国経済にとって2020年は明るい材料はほとんどないと言われていましたます。
このような状況からやはり、ウォンは積極的買われる土壌にはないとみなでしょう。
金融政策はしばらく据え置きか
韓国も2020年5月に利下げを行い、アメリカもFRBが2022年までゼロ金利政策を維持すると発表しています。
韓国でも総裁が「Effective Lower Bound」に近い(下限に近い)と声明を出しているため、これ以上の利下げは韓国もアメリカも行いません。
そして、すでにマイナス金利を導入している日本もこれ以上の利下げはできない状況です。
アメリカも韓国も日本も、金融政策は据え置きの状況がしばらく続くものと思われます。
つまり、各国の金融政策を原因としてウォンが上がったり下がったりすることは現実的には考えられないでしょう。
金融政策の面からもウォンが上昇する可能性は弱いということができます。
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まとめ
ウォンは新型コロナウイルス感染拡大から売りが拡大しています。
これは、コロナウイルスの影響というよりも、コロナウイルスを契機に、これまで韓国に内在していた以下のような経済問題への懸念が表面化したことが原因だと考えられます。
- 米中対立
- 日本との関係
- 外需依存
- 深刻な格差財閥による成長性の阻害
2020年下半期も上記のような懸念は消えませんし、金融政策も効かない状況です。
このような理由によって、ウォン/円の相場の予測は、多くの人がウォンの買い意欲は弱いと判断しています。