南アフリカランドは政策金利が高金利な上、新興国の中では比較的安定した通貨としてスワップポイント狙いで長期保有するのであれば人気の通貨です。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって下落傾向が続いていることから「南アフリカランドは怖い」と考えている人も多いのではないでしょうか?
確かに2020年は下落が続いていますが、今後の見通しはどのようになっていくのでしょうか?
南アフリカランドの金利や変動要因、2020年の見通すポイントなどについて詳しく解説していきます。
南アフリカランドの変動要因
南アフリカランドの価格は下落が続いています。
その大きな原因が以下の7つのポイントになります。
- 政策金利の低下
- 金の価格
- 鉱物資源価格
- 中国の景気動向
- 国営電力会社の計画停電
- 失業率
- 新型コロナウィルス第2波による世界同時株安
これまで南アフリカランドの価格変動に影響を及ぼしてきた原因は今後の南アフリカランドの価格変動ににも重大な影響を及ぼす可能性があります。
南アフリカランドの価格に大きな影響を及ぼしてきた原因や今後影響する可能性のある原因について詳しく解説していきます。
政策金利の低下
南アフリカランドは、政策金利を2020年に入ったから引き下げ続けています。
2020年1月に6.25%だった金利は3月、4月と1ポイントずつ引き下げ、5月には4.25%から3.75%へ引き下げました。
世界中が新型コロナウイルス感染拡大によって景気悪化に苦しむ中、南アフリカも世界の流れと同じく政策金利を引き下げ金融緩和を行なっています。
今後も金利を下げ続けると通貨としての魅力が薄れ南アフリカランドが下落する可能性がありますが、しばらくは政策金利引き下げの予定はないようです。
今後は政策金利引き下げによる暴落の見通しはないと考えてよいでしょう。
金の価格
南アフリカは言わずとしれた金の一大産出国です。
南アフリカの金の産出量は世界の1/4を占めており、南アフリカの主要産業の1つです。
そのため、金の価格が上昇すれば南アフリカは儲かり、金の価格が下落すれば南アフリカの貿易収支は苦しくなります。
新型コロナウイルスによる世界同時株安の影響で、金の価格は大幅に上昇しました。
しかし、今後株価が上昇していく中で、金の価格が株価に反比例する可能性は十分に考えられます。
南アフリカランドへの投資は金の価格も重要です。
レアメタルなどの鉱物資源価格
金と同じくレアメタルなどの鉱物資源の価格も重要です。
南アフリカは鉱物資源の産出が非常に盛んで、その中でもプラチナが最大の輸出品です。
やはり鉱物資源の価格が南アフリカの貿易収支に直接影響することになるので、レアメタルの価格にも注目する必要があります。
中国の景気
南アフリカランドの価格には中国の景気が大きく影響します。
南アフリカの最大の貿易相手国は中国だからです。
実際に、南アフリカランドは2015年に暴落していますが、この時には中国の景気悪化が原因だったと言われています。
最大の貿易相手である中国の景気が悪化すれば南アフリカの景気も悪化します。
中国の景気やアメリカと中国の関係性などにも注目して南アフリカランドへの投資を行なった方がよいでしょう。
国営電力会社の計画停電
南アフリカの国営電力会社エスコムの電力状況も通貨の価格に影響をあたえるという点にも注目です。
南アフリカは慢性的な電力不足で、基本的にはいつも電力が足りていないので、度々計画停電を行なっています。
電力の供給が止まれば経済も止まるので、計画停電のたびにGDPの何割かは失われます。
また、エスコムは多額の債務を抱えており、その救済のために政府が2019~21年にかけて590億ランドを事業に投入することを約束しています。
さらに2022年〜2031年の10年間で2,300億ランドの救済措置が行うと発表しています。
エスコム救済のために多額の国家予算が投入されるので、これが原因で政府の財政赤字が膨らんでしまいます。
この点も南アフリカランドにとっては大きな価格変動(下落)要因となってしまいます。
失業率
南アフリカは失業率が非常に高い国で
2019年10月から12月の失業率は29.1%にのぼっています。
失業率は2016年の26.5%であることから、高い失業率は慢性化し悪化していることになります。
言うまでもなく失業率の高い国は治安が悪くなり、社会全体の発展を阻害する大きな要因になってしまいます。
南アフリカは失業率の高さというのは、間違いなく南アフリカランドの上昇を阻害しているといえます。
今後も南アフリカの失業率に注目する必要がります。
新型コロナウィルス第2波による世界同時株安
今後、新型コロナウイルスの第2波が襲来した場合には、世界同時株安が再び襲来するのではと懸念されています。
そうすると南アフリカランドも暴落する可能性もあります。
南アフリカだけではないですが、2020年から2021年に関しては投資のポイントとして、新型コロナウイルス第2波、第3波が到来するかどうかという点も非常の重要な投資の視点になるでしょう。
2020年の南アフリカランドの予測のポイント
では、2020年、南アフリカランドの価格を予想する場合に、重要になるポイントはどのような点になるのでしょうか?
- 政策金利
- 国営電力会社の動向
- 格付け
- 中国の景気
- 南アフリカの経済成長率
- 失業率
これらのポイントから考えると、2020年は南アフリカランドの下落傾向は継続するのではないかとされています。
南アフリカランドの価格を重要6つの視点から詳しく解説していきます。
政策金利の低下
2020年に入ってから下落が続いている政策金利の動向に注目が集まります。
すでに政策金利を半分近くにしている南アフリカですが、これが2020年に入ってからの大きな下落要因であったことは間違いありません。
これ以上政策金利を引き下げるようなことになると、通貨の魅力が大きく低下するのでさらなる暴落を招く可能性はあります。
しかし、今のところ現在の3.75%よりも金利を引き下げる予定ではないので、政策金利の低下による下落がこれ以上起こる心配はないでしょう。
国営電力会社が再び計画停電の実施を発表
6月10日に国営電力会社のエスコムが計画停電の実施を発表しています。
慢性的な電力不足である南アフリカが計画停電を実施するたびに経済は悪化し、電力会社は債務を膨らませ、救済のために政府が財政出動を行い財政赤字が拡大するという悪循環になります。
しかし、南アフリカの慢性的な電力不足は何も解消されていないため、今後も計画停電は度々行われる見通しです。
停電による景気の悪化によって、南アフリカランドはやはり下落が継続していくのではないかと懸念されています。
格付けの低下
2020年。国際的な格付機関は南アフリカランドの格付けを以下のように引き下げています。
- ムーディーズ:Ba1
- S&P:BB-
- フィッチ:BB
これによって、世界的な国債インデックスから除外されることになってしまいました。
5月末に格付けが下落した際には、実際にランド売りが強まるとの懸念からランドは暴落し、今後も格付けの低下傾向は続くので、格付け下落によって、さらにランドが暴落する可能性があります。
中国の先行き不透明感による景気下振れ懸念
中国の先行き不透明感によって南アフリカの景気が下振れすることも大きな懸念材料です。
アメリカによる相次ぐ経済制裁によって、ファーウェイはじめとした中国企業は厳しさを増しています。
また、新型コロナウイルスや香港問題などによって、世界の中には中国との付き合い方を見直す国も出始めています。
このような動きから、今後中国経済は悪化していく可能性があります。
中国が最大の貿易相手国である南アフリカは、2020年に中国の経済が厳しくなるに伴い、経済が悪化することが懸念されており、こちらも南アフリカランドの下落材料だと言えるでしょう。
低い経済成長率
新興国である南アフリカは実は経済成長をしていません。
- 2016年 :0.4%
- 2017年 :1.4%
- 2018年:0.8%
- 2019年:0.6%予測
というのがここ数年の実績です。
さらに2020年に至ってはマイナス成長へ転じてしまうことが懸念されています。
当たり前ですが、経済成長しない国の通貨は投資家にとって魅力はありません。
2020年も経済は厳しい状態にあることから、価格の暴落が予想されています。
高い失業率による社会不安
前述したように、南アフリカは30%近い失業率となっており、2020年は新型コロナウイルスの影響によってさらに雇用は悪化すると考えられます。
失業率が高い国は不安定ですので経済成長しにくいと言えます。
今後も失業率が改善する見込みはなく、むしろ悪化すると考えられているため失業率がさらに低下して南アフリカランドが下落する可能性も否めません。
高金利の南アフリカランドは低いレバレッジで中長期保有
高金利の南アフリカランドはあまり高いレバレッジをかけることなく、中長期のスパンでスワップポイントを目当てにした取引を行うことがおすすめです。
高いレバレッジをかけなくても南アフリカランドなら十分なリターンを狙うことができますし、下落傾向が続く南アフリカランドではリスク伴います。
南アフリカランドのおすすめ投資方法について詳しく解説していきます。
南アフリカランドの金利は3.75%
先ほどからご説明しているように、南アフリカランドの金利は3.75%となっています。
日本円の金利が0.1%ですから、日本円で南アフリカランドを購入した場合のスワップポイントは3.75%+0.1%=3.85%となります。
例えば、100万円分の南アフリカランドを保有した場合には、持っているだけで年間38,500円の収入になります。
金利が低下したとは言え、まだまだ南アフリカランドの金利は高く、スワップポイント狙いで高いリターンを獲得することができます。
金利の高い南アフリカランドはスワップポイント狙いの中長期保有が前提になります。
レバレッジ3倍でも10%以上のリターン
前述したように、南アフリカランドは2020年価格の下落が予想されています。
そのため、あまり高いレバレッジで取引をしてしまうとすぐに強制ロスカットになってしまう可能性があります。
南アフリカランドは、それほど高いレバレッジで取引をするのではなく、2倍〜3倍程度のレバレッジで取引をした方が安全です。
そもそも金利が高い南アフリカランドは高いレバレッジで取引しなくても十分なリターンを狙うことができます。
例えば、レバレッジ3倍でも3.75%×3倍=11.25%の金利になります。
仮に30万円投資した場合には、保有しているだけで33,000円以上のリターンになります。
中長期保有で低めのレバレッジで投資を行うのがおすすめです。
南アフリカランドにおすすめFX業者
南アフリカランドは長期保有するのがおすすめです。
そのため、スプレッドはそれほど気にする必要はなく、スワップポイントが重要になります。
南アフリカランドを取引するのであれば以下のような業者と取引するのがよいでしょう。
まとめ
南アフリカランドは以下のファクターによって価格が変動する可能性があります。
- 政策金利
- 中国の景気
- 電力事情
- 金やレアメタルなどの鉱物資源の価格
- 格付け
これらの情勢から考えられる南アフリカの2020年の価格予想は下落傾向にあります。
しかし、金利の高さへ魅力ですので、低いレバレッジで長期保有することをおすすめします。
南アフリカランドはまだまだ価格が不安定な通貨です。
そのため、南アフリカランドを取り巻く様々な現象から目を話すことはできません。
米中貿易摩擦、アメリカ大統領選挙など、南アフリカランドに影響を及ぼす中国経済の状況等に注視しながら投資を行うようにしましょう。